ニコラス・ケイジが主演の映画『ロード・オブ・ウォー』を見ました。
武器商人についてはアニメの『ヨルムンガンド』でどんな存在なのか少しは知っていたのですが、ロード・オブ・ウォーも現実味があって面白かったです。
自ら危険に飛び込むことで人生を切り拓く
この作品の主役は紛争地帯や世界中の国々で武器を売り歩く「武器商人」です。
主役のユーリー(ニコラスケイジ)は元々は善良な一般人でしたが、ギャングの抗争で人が死ぬのを目の当たりにして武器を商売にすることを思いつきます。
悪や暴力から「逃げる」こともできますが、逃げても安全とは限りません。
それなら自ら危険な世界に「飛び込む」ことで人生を切り拓こうとしたわけです。
弟と組んで武器を売り歩きますが、商売の才能があったらしくて事業が拡大。
ライバルの武器商人との確執や弟の死を乗り越え、稼ぎ続けます。
結局最後はインターポールに逮捕されるのですがほどなくして釈放。
作品中では描かれてはいませんでしたが、”正義”を気取る国家も武器の闇売買に加担していることが臭わされており、このことが原因で釈放されたようです。
武器売買に関する闇を感じました。
自ら戦うな!
主役のユーリーには商売の哲学があり、その1つに「自ら戦うな」というのがありました。
人を殺傷できる武器を扱っていると、自分が全知全能でなんでも好きなことをできたり、暴力でなんでも思い通りにできそうな錯覚に陥ったりしてしまいます。
しかし武器商人である以上、自ら武器を手に取って戦うのは御法度です。
”その道のプロ”と対決したら負けるのは目に見えていますし、自分一人が戦闘に加わったところで紛争地域の状況が変わるはずもありません。
自分はビジネスマンにすぎず、扱っている商品がまたまた武器だっただけ、と身の程をわきまえて行動する必要があります。
一緒に商売をしてきた弟はこの「自ら戦うな」という哲学を守れず、命を落とすことになります。
ここらへんの商売哲学はヨルムンガンドでも何度か描写されており、武器商人のことを知るうえで重要なポイントだと感じました。
暴力が蔓延する場所で、人はどう考えてどう行動するのか?
ロード・オブ・ウォーの中で、個人的に印象に残ったセリフがあります。
「10年後に死ぬ病気のことをなぜ恐れる必要があるの?
明日死ぬかもしれないのに。」
このセリフは紛争が絶えない国に武器を売り込みにいったユーリーが、現地の将軍からの接待で、娼婦がいる部屋に案内されたときのセリフです。
紛争が続く地域では性感染症やエイズの予防措置が不十分で、感染者も多いと聞きます。
いくら接待とはいえそういった病気をもらうのは嫌だったユーリーが女性たちを拒んだ際、現地女性が囁いたセリフが先ほどのものです。
死に至る病気のことや”将来のリスク”について考えるのは、「明日も生きられることがほぼ確定している人」だけです。
略奪や銃撃戦が日常茶飯事で毎日のようにそこらじゅうで人が死んでいくような場所では、明日も生きられるという保証はどこにもありません。
明日も生きられるという保証がないのであれば、10年後の病気のことなんて気にせずに今を楽しんだ方が得!こう考える人がいても不思議ではありません。
武器が溢れ火薬の臭いで充満した世界では「将来への備え」なんて何の価値もないよな…と、気付かされました。
同時に僕はものすごく恵まれた世界に生きているのだと実感させられるセリフでもあり、印象に残りました。
ブラックマーケットについて考えさせられる
映画『ロード・オブ・ウォー』は武器に関するブラックマーケットの仕組みについて描かれています。
- なぜ武器がなくならないのか?
- なぜ武器が蔓延するのか?
- 何が”悪”なのか?
について考えさせられる作品ですので、興味があればぜひご覧ください。
1発の銃弾が生産されて打ち放たれるまでを描いたオープニングも面白いので、銃や武器に興味がなくても引きこまれると思います。
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