『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』がAmazonプライム会員だと見放題だったので、視聴しました。今回は映画の感想です。
主人公・マ男(小池徹平)が入社した会社が
- 自分のことを”神”と呼ぶように強制してくる上司がいる
- デスマーチ(死の行進)がある
- 定時退社は都市伝説だと言われる
- あからさまなイジメ、新人いびりを受ける
- 上司が自分のミスを部下になすりつけてくる
- 必要経費が経費として処理されない
- 「いいえ!」と返事しても「イエス!」と勝手に解釈される現場
- 社内の人間関係がカオス
- 「この仕事は体力が勝負!」と頭を使う気がまったくない
など、絵に描いたようなブラック企業だったので、主人公の最大の失敗はなんだったのか?とブラック企業をブラックで無くすための解決策についても考えてみました。
最大の失敗は「後がない」状態で入社してしまったこと
まず、主人公の最大の失敗についてですが、「この会社で働けなかったら、もう後がない」という追い込まれた状況でブラック企業に入社してしまったのが一番の失敗です。
「もうあとがない状態」とは、労働者側に余裕がない状態です。
こういう状態で会社に入ると、雇用者側(経営陣)や上司を「この人には少しくらい無茶な要求をしても大丈夫だろう」と、つけあがらせてしまいます。
もちろん、まともな経営者やまともな上司ならこんなことは思わないんですけど、ごくまれに(ブラック企業では頻繁に)経営者や上司がまともな思考回路を持っていない場合があります。
自分が入った会社が”運悪く”まともじゃない経営者や上司がいる会社だった場合は最悪です。
基本的に、そういった最悪な状況から脱するには「会社を辞める」のが一番簡単で効率が良いです。
「懸命に他人を”変えよう”としても無駄。自分が変わった方が効率よく生きられます」でも書きましたが、まともじゃない人に何を言っても無駄です。
自分の行動を変えるしか、状況を好転させる方法はありません。この映画の場合だと「会社を辞める」という行動ですね。
しかしこの映画の主人公の場合は「もう後がない」ので、気軽に会社を辞めることができません。
これでは相手をますます付け上がらせてしまうだけです。
「こんな会社いつやめても構わない」という余裕がない状態でブラック企業に入社してしまったのが、最大の失敗だと感じました。
NO!と言えない
人類はテレパシーが使えません。
そのため、できないことは「できない」、無理なものは「無理」とはっきり言葉にして伝える必要があります。
ブラック企業では「いいえ!」が「イエス!」と解釈されてしまう可能性はありますが、
- 嫌なことは「嫌です。」
- できないことは「できません。」
- ダメなものは「ダメです。」
とはっきりと意思表示しないと、ズルズルと泥沼に引きずり込まれます。
主人公は「もうあとがない状態」だったのでNO!と言えなかったり、新入社員なので先輩たちに気を遣ったりしたのかもしれませんが、自分の考えは言葉にしないと相手に伝わりません。
NO!というべき時にNO!と言えなかったのも主人公の失敗ですね。
また、ついつい忘れがちなことですが、役職や入社してからの年数、年齢によってその人の「価値」や「偉さ」は決まりません。
バカは何歳になってもバカのままですし、あえて無能な人間を役職に付ける場合もあります。
「俺はリーダーだから偉いんだ!」
「新入りはバカなんだから黙って先輩の言うとおりにしてろ!」
みたいなことを言っている人がいたら、それは全部ウソですので、騙されないように気を付けないとですね。
解決策はコミュニケーション
この映画を最後まで見て思ったのは、ブラック企業内におけるすべての問題はコミュニケーション不足が引き起こしているのではないか?ということでした。
社内の人たち同士で十分なコミュニケーションが取れていれば、ここまで酷い会社にはならなかったでしょう。
そしてこのコミュニケーションは、
- すべてのメンバーの間で
- それぞれ双方向に確保されなければならない
という条件が付いています。
コミュニケーションについて、会社ではなく家庭を例にしてみます。
たとえば
- 父
- 母
- 息子
- 娘
がいる4人家族がいるとします。
この場合、
- 父ー母
- 父ー息子
- 父ー娘
- 母ー息子
- 母ー娘
- 息子ー娘
で、6通りのコミュニケーションが考えられます。
コミュニケーションが良くとれていて問題が少ない家庭では、おそらく6通り全ての組み合わせでコミュニケーションがとれています。
もしも父と息子の仲が悪くて、「父ー息子」のコミュニケーションが全然ない場合、家庭内の雰囲気が悪くなります。
父から息子に対して何か言いたいことがある場合に、必ず母や娘を仲介して言いたいことを伝えてもらったり、逆に息子から父に対して言いたいことがある場合に、母や娘に頼んで息子が思っていることを父に伝えてもらうような場合です。
「父ー息子」の間での直接のコミュニケーションがないので家庭内の雰囲気が悪くなるし、家族全員で何かの目的に取り組んでいるときには、目的の達成が難しくなります。
また、一見すると「父ー息子」間で直接的な会話があったとしても、父から息子に対して一方的に言いたいことを言っているだけの場合や、息子から父に対して一方的に要求を突き付けているような場合もコミュニケーションが取れているとは言えません。さきほどと同じように、目的達成が難しくなります。
必ず「父⇒息子」「息子⇒父」の両方がバランスよくないと、コミュニケーションが取れているとは言えないです。
話を会社に戻すと、社内のメンバーで
- すべてのメンバーの間で
- それぞれ双方向に
コミュニケーションが取れていない場合は、目的の達成(仕事の進行)が難しくなるのでブラック企業化しやすいです。
- コミュニケーション不足により仕事が遅れる
- 仕事が遅れ、納期に間に合わないので残業とデスマーチが横行する
- コミュニケーションが取れていないので残業代の支払いを求めたり上司に相談したりすることができない
これで見事なブラック企業の誕生です。
ということで、『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』を観る際は「コミュニケーション」に着目しながら視聴することをおすすめします。
作品内で発生したトラブルの多くがコミュニケーション不足が原因であることに気付けます。
また実際のブラック企業がどうなのかはわかりませんが、本作品では最後の最後で多くの問題が解決され、ハッピーエンドのような形で終わっています。
最悪だった社内の雰囲気を変え、ハッピーエンドへと導いた原因がなんだったのか?
これもコミュニケーションに着目しながら視聴すると答えが見つかるんじゃないかと思います。
『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』はAmazonプライム会員、もしくはU-NEXT で見放題です(どちらも登録後最初の1カ月間は無料)。
「うちの会社、もしかしてブラック?」という方は早期退職へのきっかけになりますし、就職活動をしている方は就職先の判断材料になりますので、時間があれば見てみてください。
反対に、ブラック企業経験者の方は、現場の情景がフラッシュバックして気分が悪くなるかもしれません。絶対に見ないでください。
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