日本の飛び級、飛び入学制度の実態。成績優秀者に厳しく、怠け者に優しい国でした

高校生や大学生が卒業前に上位の学校に入学したり、学年を飛び越えたりする「飛び入学」「飛び級」について調べてみました。

飛び入学できる大学はわずか1%の狭き門

文部科学省のホームページによると

 いわゆる「飛び入学」とは、特定の分野について特に優れた資質を有する学生が高等学校を卒業しなくても大学に、大学を卒業しなくても大学院に、それぞれ入学することができる制度です(法第90条第2項、第102条第2項、施行規則第151条、第152条、第153条、平成13年文部科学省告示第167号)。

大学への飛び入学であれば、高等学校に2年以上在学した者(またはこれに準ずる者)で、大学が定める分野で特に優れた資質を有する者が、大学院への飛び入学であれば、大学に3年以上在学した者(またはこれに準ずる者)で、大学院が定める単位を優秀な成績で修得した者が飛び入学することができます。

ただし、飛び入学生を受け入れる場合、大学(大学院)も必要な要件を満たしている必要があります。

となっています。

大学へ入学するには最低でも2年間は高校生をやらなければならず、高校1年生が翌年大学生になったり、中学生が大学に入学したりするのは制度上不可能です。

また、飛び入学先となる大学側にも厳しい制限があり、

  • 大学院が置かれ、かつ、教育研究上の実績及び指導体制を有すること
  • 特に優れた資質の認定に当たって、高等学校の校長の推薦を求めるなど、制度の適切な運用を工夫していること
  • 自己点検・評価の実施及びその結果の公表を行うこと

という条件が整っていないと優秀な高校生を入学させることができません。

大学生が大学院に進む場合にも「大学に3年間在学した者」という条件があるので、どんなに優秀でも1年や2年では大学院に進学することはできません。

また、受け入れ側の大学院にも条件があります。

  • 優秀な成績で修得すべき大学院が定める単位をあらかじめ公表するなど、制度の適切な運用について配慮していること
  • 自己点検・評価の実施及びその結果の公表を行うこと

これらの条件をクリアしていないと大学側は優秀な学生を入学させることができないし、学生側としても、どんなに頭が良くても、より高度な教育機関に進学することができないのが日本の現状です。

当然、制約が厳しいので実施校が増えるはずもなく、平成10年(1998年)に千葉大学で飛び入学が許可されてから国内では平成30年時点で7大学しか飛び入学できる大学はありません。

千葉大学(国立) 文学部・理学部・工学部 平成10年度~

名城大学(私立) 理工学部 平成13年度~

エリザベト音楽大学(私立) 音楽学部 平成17年度~

会津大学(公立) コンピュータ理工学部 平成18年度~

日本体育大学(私立) 体育学部 平成26年度~

東京藝術大学(国立) 音楽学部 平成28年度~

京都大学(国立) 医学部 平成28年度~

たったこれだけ!

文部科学省のデータによれば平成27年(2015年)には全国に779の大学がある(国立86、公立89、私立604)そうなので、飛び入学できる大学の数はわずか1%未満

大学の飛び入学制度が誕生してから20年で、実施校が1%にも満たないとは…。

高校への飛び入学は日本では認められていないため、事実上

「日本では飛び入学できない」

「日本に飛び入学制度は存在しない」

と言い切っても問題ないのが現状です。

アメリカの飛び級・飛び入学制度

飛び級・飛び入学と聞くとアメリカを思い受かべる方もいると思いますが、アメリカでは飛び入学・飛び級する人がたくさんいるみたいです。

州によって小学校での義務教育機関が5年だったり6年だったりする場合や、入学するときの年齢をその年の1月1日時点でカウントする州や9月1日時点でカウントする州があったりして、学校制度自体がわりと適当なことも原因のようです。

アメリカは実力主義なので、最終学年の学力試験をパスできれば年齢に関係なく中学や高校を卒業できるほか、高校に通いながら同時に大学に通って単位を取ったりすることも可能。

学校側からすれば生徒が早く卒業してくれた方が、必要な教員や教材の費用を安く抑えられるなど負担が減ります。

また、生徒側からすれば早く卒業できた方が学費を安く抑えることができるので、双方にとってメリットが多いようです。

年齢で学習速度を横並びにする必要があるのか?

日本の話に戻りますが、そもそも日本のように年齢によって学習速度を横並びにする必要があるのでしょうか?

学習能力や学問への適性は、1人1人違います。

同じことを教えても、すぐに理解できる人がいれば、なかなか理解できない人もいます。

それなのに学習能力も適正もバラバラな人たちを一ヶ所に集め、同時に同じことを教えて、同時に卒業させることになにか合理的な理由はあるのでしょうか??

年齢が同じ人たちを一ヶ所に集めて同じことを教えた方がいいのって、体育くらいしかないと思うんですよね。

肉体年齢と学習過程を紐づけする合理的な理由ってやつを教えてもらいたいものです。

事実上日本では飛び級も飛び入学もできないわけですが、これってつまり、国の制度によって頭の良い子どもが活躍する機会を奪っているのと同じでは?と感じました。

日本の高校や大学には学習の遅い人を留年させる制度がありますが、遅い人を留年させる制度があるなら、学習能力の高い人をどんどん先へ進ませる制度も同じ程度に整っていなければおかしいはずです。

現状では学力のない人への制度(留年制度)だけが整っており、非常に不均衡と言わざるをえません。

飛び級、飛び入学しても卒業後のキャリアがない

飛び級、飛び入学できないばかりか、日本では飛び級・飛び入学者が学校を卒業した後の進路も厳しい状況です。

1998年に日本初の「飛び級」で千葉大学工学部に入学した男性は、現在トラックの運転手をしているそうです。

15歳で司法試験に合格した中学生も!天才少年「その後の人生」

なんという才能の無駄遣い!

とはいえ、彼を責めることはできません。

日本では研究者の給料が安いので、家族がいる方はどんなに頭が良くても学問への意欲があったとしても研究者として生活していくことはできず、生活するためにはトラック運転手の仕事を選ばざるをえないからです。

こういってはなんですが、トラックの運転手はバカでもできます。

もちろん運転には適性があるので誰でもできるとは言いませんが、学力が低くても受け入れてもらえるのがトラック運転手などの運送業界だというのは事実です。

しかしその逆、トラック運転手にしかなれないような人が、飛び級で大学に入学したり飛び級で大学を卒業したりするのは、おそらく不可能です。

これらのことを考えると、日本は学力が高いほど生きにくい国だと言えますね。

優秀な人ほど海外へ行ってしまう

  • 事実上飛び級、飛び入学制度が存在しない
  • 早期入学、早期卒業しても、その後の就職や生活で不利

ということから、このまま日本の教育制度が継続した場合、日本に生まれた優秀な人ほど海外へと流出していくのではないでしょうか。

だって日本の教育機関で勉強したり研究したりしても、まったくメリットがないですからね。

言語の壁があるものの、アメリカの学校に通って飛び級、飛び入学で大学を卒業、その後は日本よりも給料が高くて研究費も潤沢なアメリカの研究機関に就職して好きなだけ学問を追究。

20年後くらいにノーベル賞や大きな研究成果を残して一躍有名人に!

…みたいなルートを思い描いて、日本を出ていく人がいてもおかしくはないです。

少なくとも日本にいる限り、好きなことを研究し続けたり自分の学力や学習意欲に合った早さで勉強したりすることはできません。

日本は成績優秀者に厳しく、怠け者に優しい国

ここまでのまとめになりますが、日本は成績優秀者に厳しくて怠け者には優しい国です。勉強を頑張れば頑張るほど損をするようになっています。

勉強が全てとは思いませんが、勉強ができないよりは勉強ができた方がいいし、勉強できる人はもっと報われてもいいと思います。

日本の現状を見ると、まるで不良が集まる底辺高校みたいです。

優秀な者は寄りつかず、入学した生徒のうち半数は留年するので、怠け者や学習意欲のない者ばかりが残ることになります。

こんな状態でなにか良いものを生み出そうとしても、環境から見てかなり難しいです。

すくなくとも、成績優秀者の集まる学校に比べたら不利なのは間違いないでしょう。

これが底辺校ばかりでなく日本全体で行われているという事実に、僕はガッカリしました。

卒業後の進路や生活も含め、日本はもっと学力の高い人への配慮、優遇をした方がいいと感じました。

最近はオンラインスクールのようなものも普及しているので、学力のある人や学習意欲のある人たちは、学年を越えてどんどん先のことを勉強できるようになっています。

そんな時代に、年齢で学年を縛り付けることになにか意味があるのか?

ネット上では優秀な人が勉強する環境が整っています。

リアルの世界でも整えていかないと、優秀な人たちは海外やインターネットの世界に逃げてしまい、国にとって大きな損失になると思いました。

飛び級、飛び入学できないのが不満な方は、こちらの方法で勉強できます。

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