詐欺師が何を考えてターゲットを探し、どのような手口でカモを騙していくのか興味はありませんか?
ウィル・スミス主演の映画『フォーカス』を観て詐欺師に興味を持ち、『詐欺師入門』という本を図書館で借りてきました。
本書は言語学の研究の副産物として生まれた書籍で、アメリカの詐欺師、特に相手を「信用させて」からお金を巻き上げる”信用詐欺”の手口について詳しく書かれています。
今回は『詐欺師入門』を読んで判明した意外な事実についてお伝えします。
- 信用詐欺の手口と詐欺を成功させるためのポイント
- なぜ人は詐欺に遭ってしまうのか?
- 騙されやすい人と騙されにくい人の特徴とは?
- 詐欺師の中でも特に信用詐欺師が”別格”として尊敬されている理由
- なぜ詐欺師は捕まらないのか?
に興味がある方は続きをお読みください。
そもそも「信用詐欺」とは?
『詐欺師入門』は数ある詐欺のレパートリーのうち、”信用詐欺”と呼ばれる手口について解説した本です。
信用詐欺とは、騙す相手(カモ)に自分のことを信用させることで不正な利益を得る手口のことで、主に金銭を巻き上げます。
信用詐欺は相手の体を傷付けたり流血沙汰になったりすることがなく、カモに自ら喜んでお金を差し出させるように仕向けるため、非常にエレガントです。そのため詐欺師業界の中でも信用詐欺を行う者は詐欺師業界の”貴族”と呼ばれ尊敬されているそうです。
信用詐欺を成功させるコツは演技力。いかにカモを信じ込ませるか?
信用詐欺を成功させるための一番のポイントは”演技力”です。演技が上手じゃないと人を騙せませんからね。
そして騙すときにはカモがほんの少しでも違和感や疑問を感じてしまわないくらい自然に、まるで息をするかのように騙す必要があります。そのため方言や業界用語といった「言葉遣い」は最重要ですし、服装や持ち物、立ち振る舞いも大事です。
さらには舞台装置として会社のオフィスのようなものを用意することもありますし、相手を信用させるために「実際に営業している会社の事務所」を【勝手に】使うこともあるそうです。
詐欺師入門の内容は1900年代のアメリカの詐欺師たちに取材したもののため、現代では他人の会社の事務所にコッソリと侵入して使うのは難しそうな部分もあります。しかしその会社が使っている伝票を使ったり、社内で流通している文書のフォント(字体)を合わせたりすることで信用させやすくなったりするので、現代でもカモを騙すための”舞台装置”として似たようなことが行われていると考えられます。
また、効率よくカモを騙すために詐欺師たちが協力して”お店”を作って営業することもあります。
ボッタクリバーみたいなものですが、スカウトマンが「上等なカモ」を店に誘い込み、そこでカードゲームをさせて持っているお金を巻き上げたり、「こいつはもっとお金が巻き上げられそうだ」と確信したカモには「一緒にビジネスをしませんか?実はあなたのような人を探していまして…」などの方法で大金を巻き上げたりします。
いずれにせよ相手(カモ)を信じ込ませなければ話にならないため、信用詐欺を行うためには演技力がモノを言うそうです。
なぜ詐欺師は捕まらないのか?
場合によっては数千万円~数億円規模の大金を騙し取っているにも関わらず、信用詐欺師はほとんど捕まりませんし、騙された人も警察には通報しないそうです。
なぜでしょうか?
その理由は「被害者側にも後ろめたいことがあったから」です。
詐欺の被害に遭った人たちの方に何の落ち度もなければ、堂々と警察に被害を訴えることができます。ところが信用詐欺の多くは不正な方法で利益を得ようとして、その結果としてお金を失うパターンがほとんどです。
そのため信用詐欺の被害に遭った人は「警察に届けると自分が不正をしようとしたこともバレてしまう」と恐れ、被害に遭ったとしてもその事実を隠し、結果として事件が明るみに出ることは少なくなるそうです。
ネットで見かける「スマホをポチポチするだけで毎月100万円」といった怪しい情報に踊らされてしまう人も、「正当な努力をすることなく不正な方法で利益を得ようとした」ことがバレるのを恐れて申告しなかったり、「こんな怪しい広告に騙されたなんて言ったらバカにされる」と恐れて被害を届け出なかったします。未公開株式の勧誘で騙されたり出会い系サイトで騙されたりするのも同じですね。
被害者側にも後ろめいたことがあるため、被害に遭っても警察などに届け出る人は少ないです。そのため警察で把握している詐欺の事件数よりも、実際はもっとたくさんの詐欺事件が発生しているとされています。
詐欺師が騙しやすい人(詐欺師に騙されやすい人)の特徴
信用詐欺師が「この人は騙しやすい」「こいつは上等なカモだ」と感じるのはどのような人でしょうか?
「頭の悪そうな人?」
「人のことをすぐに信用してしまう人?」
いいえ、全然違います。
信用詐欺師たちによれば、「自分のことを正直者だと思っている人」ほど騙しやすいそうです。
自己紹介をする際に「私の長所は正直なところです。この前もこんなことがありました・・・」と話し出すような人は、信用詐欺師からすれば上等なカモなんですね。
本物の正直者は自分のことを「正直者」なんて絶対に言わないし自分のことを正直だとは微塵も思わないので、自分で自分のことを正直者だと宣言するような人は「自分が正直者だと勘違いしている人」にすぎません。信用詐欺師はこういう勘違い人間が大好物で、「自分が正直者だと勘違いしている人ほど騙しやすい。」と口を揃えるそうです。
また、「被害者側にも後ろめたいことがある」という信用詐欺の特徴から、ビジネスで成功している人も”上等なカモ”になりやすいとか。
これは偏見もあると思うのですが、ビジネスで成功するためには多少の汚い手段を使うのが常識であり、「後ろめたいこと」をした人ほど成功しやすいです。
そのためビジネスで成功している人=信用詐欺師が話す「うまい話」や「不正な方法で利益を得ること」に抵抗が無いということになり、怪しい話でもすんなりと受け入れてしまい大金をだまし取られるそうです。
凄腕の信用詐欺師でも絶対に騙せない人(騙されない人)の特徴
どんなベテラン詐欺師でも凄腕の信用詐欺師でも絶対に騙せない人がいます。それは「まともな人」です。
怪しい話に喰いついてくるような人や不正な方法で利益を得ようとする人は騙しやすいですが、このような「怪しい話」「不正な利益」に興味を持たない人のことは絶対に騙すことができません。
「真っ当な人間を騙すことはできない」という言葉があるそうですが、この言葉は真理を表していたわけですね。詐欺の被害に遭いたくなければ、ズルや不正を嫌う「まともな人」になるしかありません。
まとめ
今回は”信用詐欺”について、
- なぜ人は詐欺に遭ってしまうのか?
- 騙されやすい人と騙されにくい人の特徴とは?
- 詐欺師の中でも特に信用詐欺師が”別格”として尊敬されている理由
- なぜ詐欺師は捕まらないのか?
などをご紹介しました。
『詐欺師入門 騙しの天才たち:その華麗なる手口』では信用詐欺について豊富な事例を元に詳しく解説されています。詐欺師の日常生活やサクラたちとの役割分担、詐欺師の思考についても書かれているので、興味があれば一読してみてください。
『詐欺師入門』とありますが詐欺師になるための入門書ではなく、詐欺師の実態を知ることで詐欺被害を未然に防ぐための本です。犯罪を推奨する内容ではないですし防犯にも役立ちますので、一度は読んでみることをおすすめします。
コメント