米中貿易摩擦による世界景気の後退懸念から、資産の逃避先として仮想通貨(暗号資産)が買われ値段が上昇しています。
ビットコインやリップル、ネムといった暗号資産を保有している方たちからすれば「よっしゃー!」という状況です。
熱狂的な暗号資産マニアの中には「リップルは500円まで高騰する」「ビットコインは再び200万円を超える!いや、無限大、青天井だ!」といった意見の方もいます。
そんな浮かれた気分に水を差すようで申し訳なのですが、暗号資産の価格はある一定のレベルまでは高騰する可能性はあれど、青天井にはなりえないと断言しておきます。
なぜ価格には上限があるのか?
今回は暗号資産やモノの値段が無限大にならない無い理由(モノの値段に上限がある理由)についてご説明します。
原則1:「神の見えざる手」によって価格が決まる
一般的にモノの値段は「需要と供給のバランス」によって決定されます。
あるモノの値段をみた時、
- 需要が多くて供給量が少なければ値段が上がる
- 需要が少なくて供給量が多ければ値段が下がる
のが原則です。「神の見えざる手」によって、ほどよい価格に落ち着くというやつです。
ビットコインの価格も近所のスーパーに売っているキャベツの値段も、この原則に従って値付けされています。
原則2:値段が上がりすぎると「代替品」を使うようになる
さて、暗号資産を含めた「モノの価格」に上限がある理由ですが、値段が上がりすぎると機能や見た目が似ている別のモノ、つまり代替品を使うようになるからです。
たとえば豪雨や天候不順により、スーパーで売っているキャベツの値段が1個1万円まで高騰したとしたとします。この場合、これまでキャベツを買っていた人たちは「キャベツの値段が高すぎるな。キャベツの代わりにレタスでも買うか。」となります。
キャベツは美味しいし料理の定番野菜ではありますが、絶対に無ければ困るものではありません。キャベツが無くても死なないし、キャベツしか食べられないという方もたぶんいないでしょう。
そのためキャベツの価格が上昇すると、キャベツの代わりに同じ葉物野菜であるレタスを食べる人が現れるようになります。そしてその結果、キャベツの需要が減り価格の高騰はストップするわけです。
この法則はキャベツだけではなくビットコインやリップルといった暗号資産、さらには原油や金といった資源にも当てはまります。
ちなみに原油の価格は1バレル=70ドル前後が上限だそうです。この価格を越えたら空売り(値下がりすると儲かる取引手法)をすれば勝率が高いってことですね。
ほかにも上限が決まっている資源や先物商品はありますので、投資(投機)をやっている方は調べてみることをおすすめします。
暗号資産の値段にも限界がある
ビットコインの価格は2017年末に最高値230万円くらいまで上昇しました。その後バブルが弾けて40万円(約6分の1)まで暴落し、2019年に入ってからは徐々に値段が上昇しています。
暗号資産を取引しているトレーダーの中には「将来、ビットコインの価格は7万8,000ドルになる」と発言する方もいます。しかし原則に従うとすれば前回の最高値(1BTC=約2万ドル)まで上昇することはあれど、1BTC=78,000ドルまで高騰することはあり得ないのではないかと個人的には考えています。
Bitcoin Rate of Return Each Market Cycle
(Each cycle had a 20% return of the previous cycle)2011: Return of 318,864% = $31.90 High
2014: Return of 58,474% = $1,177.19 High
2017: Return of 11,960% = $19,764.51 High
2022: Potential Return of 2,392% = $78,500.00 Potential High pic.twitter.com/7KP439cpZE
— Josh Rager 📈 (@Josh_Rager) 2019年5月14日
ビットコインは過去に何度も「もうこれ以上は値上がりしない」と言われ、その度に暴落と最高値の更新を繰り返してきました。
2019年に入ってからの上昇でも同じことが起こらないとは言い切れませんが、現在のビットコインの価格形成は「将来値上がりするかもしれない」という”期待感”だけで決まっています。買い物時にビットコインを使えるお店は少ない(需要が無い)ですし、代替できる暗号資産も豊富にあります。
「神の見えざる手によって値段が決まるのであれば、期待感(人間心理)で値上がりするのもまた原則である」といってしまえばそれまでですが、果たして暗号資産に価値があるのか?と聞かれるといささか疑問です。
もっとも、暗号資産に関する僕の知識が浅いだけかもしれませんし「疑問に感じている人がいるからこそビジネスチャンスになる」とも言えます。また、「そもそも暗号資産の価格は需給バランスとは関係ない、ゆえに経済の原則にも当てはまらない」のかもしれません。
しかし個人的には、人類が長い歴史の中で発見してきた原則はそんなに簡単に崩れるものではありませんので、「モノの値段には上限があるし、ビットコインの値段の上限は前回の高値だったんじゃないかな」と思う次第です。
巷では「暗号資産ブーム再来!」と囃し立てる人がいますが、そういった声に惑わされて暗号資産を買おうとしている方がいるかもしれません。しかし他人の意見を聞いて安易に買うのではなく、いま一度「本当に買う価値があるのか?」を考え直していただきたいと思い、今回の記事を書きました。
大事なお金で買うわけですから、納得のいく買い物をしたいですね。
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