日本の『労働生産性が低い理由』を全部あげてみた

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「日本の労働生産性は低い」

なんとなくどこかで聞いたことのあるセリフですが、他の国と比べて本当に労働生産性が低いのか?調べたことのある方は少ないと思います。

今回は日本の労働生産性の現状と、労働生産性が低い原因はいったい何なのか?どうやったら労働生産性を高くすることができるのか?について書いてみました。

生産性とは

労働生産性について語る前に、そもそも生産性とは何なのか?について知っておかなければなりません。

生産性(せいさんせい、Productivity)とは、経済学で生産活動に対する生産要素(労働・資本など)の寄与度、あるいは、資源から付加価値を産み出す際の効率の程度のことを指す。

一定の資源からどれだけ多くの付加価値を産み出せるかという測定法と、一定の付加価値をどれだけ少ない資源で産み出せるかという測定法がある。

ウィキペディア

生産性を労働現場で考えてみると、

  • 労働時間あたりに対する成果(時間効率)
  • 一定の原材料でどれだけの製品を作れるか(資源効率)

がすぐに思い付きます。

投資やビジネスの世界だと、

  • 投資家から集めた資金でどれだけの売上をあげることができたか(ROE)

も生産性(資金効率)といえます。

要は、「インプットに対してどれだけのアウトプットを生み出せたか」が生産性の概念ということですね。

日本の労働生産性の現状

公益財団法人 日本生産性本部が発表した「労働生産性の国際比較」によると、2020年の発表では、

  • 日本の時間当たりの労働生産性は、47.9 ドル。OECD 加盟 37 カ国中 21 位
  • 日本の 1 人当たり労働生産性は、81,183 ドル。OECD 加盟 37 カ国中 26 位
  • 日本の製造業の労働生産性は、98,795 ドル。OECD に加盟する主要 31 カ国中 16 位

となっています。

単位時間当たりの生産性でも、1人あたりの生産性でも日本の生産性はそれほど高くないことがわかります。OECD 加盟国の中で1位を目指す必要はないですし必ずしも生産性が高いことが「よいこと」とも限りませんが、日本の生産性には改善余地が多く残されていることがわかります。

しかもこのランキングですが、2019年の発表ではそれぞれ、

  • 日本の時間当たり労働生産性は 46.8 ドルで、OECD 加盟 36 カ国中 21 位
  • 日本の 1 人当たり労働生産性は、81,258 ドル。OECD 加盟 36 カ国中 21 位
  • 日本の製造業の労働生産性は 98,157 ドルで、OECD に加盟する主要 31 カ国中 14 位

だったので、2020年の方がランキング順位が若干下がってるんですよね。

時間当たりの労働生産性(金額)と製造業の労働生産性(金額)は上がっていますが、他国は日本を上回るペースで生産性が向上しているため、相対的に生産性が低いことになり順位が下落しています。

日本では人口が減少しており、今後は世界を相手に商売をしていかなければならないことを考えると、他国に比べて生産性が低いことは国際競争の場では致命的な欠陥と言えるでしょう。

いまはまだメイド・イン・ジャパンのブランドや製品の「質」があるためかろうじて生き残れていますが、他の国が高品質な製品を作るようになったり、生産性の高さにより低価格の製品を作れるようになったりすれば、生産性の低さを原因とする高価格な日本の製品は誰からも見向きもされなくなってしまうでしょう。

以上を踏まえたうえで、日本の生産性が低い原因と、生産性を高める方法について明らかにしていきます。

インプットを減らしつつ、アウトプットを維持すれば生産性は高くなる

労働者1人あたりの労働生産性は「生産量 / 労働者数」の式で表せます。

また、1時間あたりの労働生産性は「生産量 /(労働者数×労働時間)」で表されます。

  • 労働者1人あたりの労働生産性=生産量/労働者数
  • 労働1時間あたりの労働生産性=生産量/(労働者数×労働時間)

労働者1人あたりの生産性を高めたければ、生産量を維持しつつ分母を小さくする努力が求められますし、これは単位時間当たりの労働生産性を高めたいときにも有効です。

分母を小さくする方法としては、

  1. 労働者の数を減らす
  2. 労働時間を短くする

このどちらか、もしくは両方が必要になります。

労働者の数を減らせば生産性は高くなる

労働者の数を減らすことで、生産性は高められます。

日本には解雇規制があるため難しいですが、諸外国では金銭解雇やリストラが一般的であり、能力の低い労働者をクビにしたり売上への貢献度の低い人をクビにしたり、会社の業績が悪くなった時に労働者をリストラしたりするのが一般的です。

繰り返しになりますが、日本ではこういった解雇や金銭解雇が法律により禁止されているため実行できず、そのせいで

  • パソコンが使えない役員
  • 出社しても一日中新聞を読んでいるだけのおじさん

といった人たちにも給料が支払われてしまい、結果的に会社全体の生産性を低下させています。

戦力としては全く機能していない人たちを遠慮なくクビにすることができれば、それだけで下の式の分母(労働者数)を小さくすることができ、生産性を高めることにつながります。

  • 労働者1人あたりの労働生産性=生産量 / 労働者数
  • 労働1時間あたりの労働生産性=生産量 /(労働者数×労働時間)

もともと戦力にならない、会社の売上に全く貢献していない人がいなくなったところで、生産量(分子)には変化がありません。

無能な人に退場してもらえれば上の式の分子が変わらないまま分母が小さくなり、それだけで労働生産性は簡単に向上します。

労働時間を短くすれば生産性は高くなる

1時間あたりの労働生産性は「生産量 /(労働者数×労働時間)」で表されます。

分母にある「労働者の数」を減らす効果についてはすでに書きましたが、「労働時間」を減らすことでも生産性の向上につながります。

残業代を稼ぐためだけに利用されている「無駄な残業」や、売上に直結しない無駄な作業時間をなくすことで単位時間当たりの労働生産性を高くできます。

日本では長時間働いている人のことを「頑張っている」と褒める文化がありますが、普通に考えて、長時間働いている人よりも短時間だけ働いて成果を出してくれる人の方が優秀だし褒められるべきです。

長い時間働いている人は「要領の悪い無能」でしかありません。できるだけ短時間だけ働き、成果をきっちり出せるようにしましょう。これが日本中で行われれば、労働生産性は飛躍的に向上するはずです。

デジタル化や機械化により、生産性は向上する

労働者の数を減らしたり労働時間を短縮することで、労働生産性が高められることがお分かりいただけたでしょうか。

働く人の数を減らしたり、勤務時間を短縮して労働する時間を短くしたりするためには、機械化やデジタル化、自動化に頼ることになります。

労働者(人間)の労働効率を一気に高めることはできません。しかし、機械化やデジタル化によって、1人あたりの労働者の生産能力が一気に何倍にも高まったのと同じ効果を得ることが可能です。

たとえば、これまで取引先に書面で送っていた契約書をデジタル化して、PDFの契約書をメールで送信するようにすれば、

  • 契約書の印刷代(インク代、紙代)と手間(時間)
  • 契約書が相手に届くまでの時間、および郵送にかかる経費(郵便代、輸送費、CO2排出コスト)

これらのコストが省けます。

ここで注目すべきは、金銭的なコストが削減できることではなく、無駄な時間(手間)を省けるという点です。

印刷や郵送にかける無駄な時間を削減することで、各労働者はそのぶん自分の仕事に専念できます。雑務が原因で十分な休憩時間を確保できていなかった人は、適度な休息が取れるようになり仕事の能率も上がるかもしれません。

新商品作りすぎ問題

日本の労働生産性が低い原因は他にもあります。その1つが「新商品を作りすぎる」というものです。

日本では、季節ごと、イベントごとに新しい商品が企画・開発され、市場に供給されます。

過酷な競争社会で消費者を飽きさせず自社商品が選ばれ続けるための工夫であり、この努力があるからこそ日本の製品は世界中から評価される品質を保てているとも言えます。

しかし、本当に毎年、毎シーズンごとに新商品って必要でしょうか?

1年に何回も新商品を作ったり、パッケージを変更したりする必要ってあります??

需要のある商品であれば、毎年同じ商品を売り続けていたとしても「売れるモノは売れる」はずです。

あなたがこれまで好んで食べていたお菓子は、そのお菓子よりも”遥かに良い商品”が出てこない限りは食べ続けるとは思いませんか?

マクドナルドでいつも注文していたセットメニューは、そのセットメニューを遥かに凌ぐセットメニューがモスバーガーで発表されない限り、他店の商品に変えようとは思わないはずです。

というわけで、毎年毎年、代り映えのしない似通った新商品を企画・開発するくらいなら、そんなものをやめることで人員やコストを別の部門に振り分けたり削減したりできるわけで、企業にとっては生産性向上につなげられます。

大企業は競争が激しいので毎年のように新製品を発表していますが、そんなことをする暇と予算があるなら、社員の給料を1円でも多く支払えるようにしたり、有給休暇を1日でも増やせるよう努力してほしいものです。

ときどき新商品に切り替えたせいで売上が下がってしまう例もあったりして、頭は大丈夫なのかと心配になることがあります。

家電では、新商品を作るために無駄に機能を詰め込み過ぎていて、結果的に誰も使いこなせない、そして誰からも需要のない製品を作ってしまってたりもします。

売上を増やすために新製品を開発するのではなく、商品開発をするために予算を食いつぶす…という『手段の目的化』が起こる始末です。

生産性を向上させるためには、一刻も早くこんな悪習はやめるべきです。

品質に厳しい国民性

品質に対して厳しい国民性も、生産性の低下に拍車をかけています。

「商品を1000個納品すると言ったら完璧な製品を1000個納品するのが当たり前」という国なので、1000個のうち5個が不良品だっただけで先方に菓子折りをもって謝罪に行かなければならないことがあります。

海外では0.5%(1000個中 5個)くらいの不良品があることを見越して、あらかじめ1005個納品して つじつまを合わせたりして合理的なのですが、日本では多めに納品することさえ許されません。

また、品質チェックの際にも、1人が確認すれば十分な商品であってもダブルチェック、トリプルチェックを要求されることがあります。

無駄に人数と時間をかけ非効率なことをしているのですが、これだけのことをしなければ許されない雰囲気が漂っているせいで生産性を低下させているんです。

生産性をあげるためには日々の工夫と変化が必要

私たちは ついつい、「昨日は何も問題が起きなかったのだから、昨日と同じように仕事をしていればいい」と現状維持をしてしまいがちですが、これでは生産性の向上は望めません。

「同じ時間でも、昨日よりも今日はもっと早く、もっとたくさん作るためにはどうすればいいか?」

「同じ時間をかけても、昨日よりももっとよい製品を作ろう」

「いまやっている手順で非効率な部分はないか?もっと時間短縮できることはないか?」

このような日々の試行錯誤や創意工夫がない限り、生産性は向上しません。

昨日と同じことをやっていたら、昨日と同じ成果しか得られません。社会は日々変化しており、人も少しずつ変化するものです。社会が変化しているのに自分たちが何も変化しなければ、時代に取り残されてしまうのも必然です。

メールやクラウドデータなど便利なシステムがあるのに、いまだにFaxを使ったり手書きの引継ぎ簿を使うなど、生産性の低さは社会の変化から目を背けて現実を見ようとしない人たちによって引き起こされています。

「俺は紙とペンがなければ仕事が捗らないんだ!」など、個人的な主義主張は大事にしてもらって構いませんが、もっと便利な製品やシステムを使いこなせる若い世代の人たちや社会全体にまで古くて効率の悪いツールを使うことを強要しないでもらいたいな~と思いました。

また、「生産性向上のために、無駄なものは潔く省くべき」という雰囲気づくりを社会全体で作らなければ日本の生産性の低さは改善しないとも感じます。

生産性を高めるために、ぜひこれを読んだあなたには生産性向上のために今できる行動をとってもらいたいです。昨日と同じことをしていたら、10年後も生産性は変わりませんので。

「自分は生産性というものが、まだよくわかってないかも」と思われる方にこそ読んでほしい一冊

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