
最近、
- 著作権違反をしながら漫画を無料で公開していたサイト
- 著作権違反をしながらアニメを無料で公開していたサイト
などの海賊版サイトにアクセスできなくなる対策が政府主導で始まりました。
「漫画村」「Anitube」「MioMio」 3つの海賊版サイトへのアクセス遮断、政府が推奨
僕はこの対策方法があまり有効ではないと考えているので、出版業界、アニメ業界が取るべき行動について考えてみました。
今回はアニメ業界への提案から。
アクセス遮断は無意味
まず前提条件として挙げておくのは、いまやっている海賊版サイトのアクセス遮断は無意味だということです。
アクセス遮断は無料でできる対策ですが、ドメイン(URL)を変えれば簡単に復活できるそうなので、規制側と海賊版サイト側での「いたちごっこ」が続くことになります。
規制側は無料で対策を取れるので非常に楽ではありますが、終わりなき消耗戦をするだけですので根本的な解決にはなりません。
同様に、新たな法律を作って規制するのも無意味。
国を変え、手口を変えて何度も同じことを繰り返すだけですので、結局は消耗戦を続けることになります。
そのため、今回は規制以外の方法で「海賊版サイトに勝つ方法」を考えてみました。
主な方法は2つです。
- 広告収入で稼ぐ
- 限定コンテンツで稼ぐ
1、広告収入で稼ぐ
僕が知らないだけかもしれませんが、日本には過去~現在までのアニメが好きなだけ視聴できるサイトが存在しません。
もし存在するとすれば、海賊版サイトだけなんじゃないかと…。
海賊版サイトよりも品揃えがよく、なおかつ高品質でアニメが視聴できるサイトがあれば、視聴者が集まります。
わざわざ低品質で品揃えの悪い海賊版サイトを使わなくても、好きなアニメが見れるわけですから。
海賊版サイトよりも高品質で品揃えの多いサイトを作り、このサイトでいつでも過去~現在までの作品が見れるようにし、運営費は広告収入でまかないます。
もしくは、「この品質でこれだけたくさんの作品が見れるなら課金してもいいかな。」と思えるくらいの金額を設定し、月額制の会員サイトとして運営する。
品質や作品数の要求水準は海賊版サイトを参考にし、海賊版サイトを上回るようにします。
また、掲載する広告の種類や掲載方法も海賊版サイトを参考にすれば、ある程度の収入が確保できるはずです。
こういった「広告収入モデル」で稼ぐようにします。
なんつーか、漫画村の問題にはyoutubeとかニコニコ動画、twitterなどのwebサービスが解決策の参考になると思うわ
「コンテンツそのものは無料で見れるが、サイトから収益は発生している」なんてシステムは簡単に作れる時代ですし
出版社も公式で合法な便利サービス作って客を奪い取ればいいのに— イマ猫/おすすめweb作品を紹介する人 (@souzouryoku5) 2018年4月13日
2、限定コンテンツで稼ぐ
もう1つの稼ぎ方が、限定コンテンツです。
すでにBDなどの円盤では、OVAと呼ばれる「限定コンテンツ」で稼いでいるのが現状です。
OVAはテレビ放映されなかったオリジナル作品のことで、各BDごとに数分程度収録されています。
「特別な作品」を見たいという正真正銘の「ファン」はOVAが見たくてBDを購入しているので、引き続きOVAなどの限定コンテンツの配信でも収入を得るようにします。
「海賊版サイトを上回るサイト」で限定コンテンツの宣伝をすれば、これまでどおり限定コンテンツからの収入が得られるでしょう。
ということで、アニメ業界は海賊版サイトの規制をするよりも「海賊版サイトを上回るサイト」の運営に力を入れ、
- 広告収入
- 限定コンテンツ
からの売上で運営した方がいいんじゃないかと考えました。
売上への影響
売上への影響についても考えてみました。
売上については、「現時点でアニメに課金していない人たちがどのように行動するか?」に注目して考えると良さそうです。
アニメ業界は、
- BD、DVD(円盤商法、OVA商法)
- フィギュアなどの物販コンテンツ
- Netflixなどからの「アニメの放映権」
が主な収入源になっています。
そのため、この3種類について分けて考えます。
円盤、物販商品への影響は少ない
海賊版サイトが閉鎖されても、円盤や物販の売り上げはそれほど変わりません。
なぜなら、これまで海賊版サイトを利用していた人たちは、海賊版サイトが閉鎖されたからといってアニメを有料で視聴するようになるわけではないからです。
アニメについては、民法で放送しているものについては現時点でも無料で視聴できます。
Netflixなどの専用サイトでアニメを見ている人たちもいますが、
- 好きな時にいつでも見れる(時間的なメリット)
- インターネットに接続できれば、どこにいても見れる(場所的制限がない)
- CMがない
といったメリットがあるから、有料の視聴サイトを利用しているにすぎません。
BD、DVDを購入してまで見る人たちは本当にごく一部の「ファン」だけだったので、海賊版サイトが閉鎖されたところで売上への影響は少ないのではないでしょうか?
同じ理由で、物販への影響も軽微でしょう。
放映権収入は減る
放映権収入とは、Netflixなどの動画配信サイトがアニメ制作会社に支払っているお金です。
「海賊版サイトを上回るサイト」でアニメを無料視聴できるようになると、これまでアニメを放映する権利を買い取っていた動画配信サイトは、アニメ制作会社にお金を支払わなくなります。
そのため、放映権収入は激減するでしょう。
そのかわり、海外でのアニメ販売に力を入れたり、吹き替え版アニメが見れる有料の専用サイトを作ったりして、減少分の利益を補います。
残念ながら、日本で作ったアニメを日本だけで販売しても儲からないのが現状です。
なので、もう開き直って海外の人たちにお金を払ってもらう仕組みにするしかないです。
動画配信サイトの1つであるNetflixによると、「日本のアクティブユーザーの半分以上がアニメを視聴しているが、中南米、台湾、フィリピン、イタリアも割合が高い。Netflixのアニメ全体としては、9割が海外視聴」とのことです。
「Netflixアニメストレート 2017」で見えたアニメに対する本気度
そのため、日本のアニメ業界は日本人を相手に商売しようとするよりも外国人を相手に商売した方がいいです。
ほら、日本ってむかしは自動車や家電などの工業製品を海外に輸出して稼いでたじゃないですか?あれと同じで、これからはアニメを輸出して稼ぎます。
海賊版サイトへの対策(アニメ)のまとめ
ここまでをまとめると、
- アクセス遮断は海賊版サイト、違法サイトへの有効な対策ではない
- 立法による規制も無意味
- これからはコンテンツを無料で解放し、広告収入と限定コンテンツで稼ぐ時代
- 日本人を相手に稼ぐのは諦めて、海外での販売に集中する
ということになります。
海賊版サイトも違法コピーも法的には犯罪であり許されることではありません。
また、一生懸命作った作品をパクられる悔しさは、僕もすこしは理解しているつもりです。
ですが、残念ながら海賊版サイトや違法コピーを根絶することはできません。
1つを叩いても、次から次へと新しいのが誕生するだけです。
アクセス遮断も法律での規制も手っ取り早く無料でできる対策ですが、根本的な解決にはなりません。
僕たちクリエイターは、どんなに悔しくても海賊版サイトを上回る作品を作ることでしか、悪い連中には勝てないのです。
最後に、「より良いものを作ることで、悪者は退治できる。」ことについて、モチベーションを上げる言葉をいくつかご紹介します。
「法律で違法ダウンロード規制したらCDやDVDが売れるって考え方はイケメンを絶滅させれば自分がモテるって考えと同じだ。」
まぁ漫画村は逮捕されるといいですけど、PCゲームの海賊版を壊滅に追い込んだのはいたちごっこの海賊版対策では無くて、steamの登場だと思うんですよね。クレカさえあればワンクリックでゲーム購入してそのまま遊べる、MODも簡単に探せて導入出来るという従来に比べると凄まじい利便性でしたからね。
— トイレスタンプ香りジェル (@Conscript1942) 2018年4月13日
いいものを作って、不届き者を見返してやりましょう。
コメント