株式市場では今日で平成の取引が終了しました。ゴールデンウィークに入るため次の取引は元号が「令和」に変わってからになります。
改元したからといって特別なことが起こるわけではないのですが、1つの節目として平成相場史をザックリと振り返ってみたいと思います。
平成相場史はバブル崩壊から始まる
いきなり暗い話題になりますが、平成相場史はバブルの崩壊からスタートします(1990年ころ~)。
昭和から平成に変わる直前までは不動産価格の高騰を筆頭に日本経済が絶好調の時期でした。僕はまだ生まれて間もない頃だったのでよく覚えていませんが、株や不動産を持っている人は相当儲かっていたみたいです。
当時を知る方からは「中学生がロレックスの時計を嵌めていた」「残業しても会社からタクシー券として2万円が支給されていた」といった伝説を耳にします。若い方には信じられないかもしれませんが、当時を知る方にとっては「そんな時代もあったな~。」と懐かしむ程度のものです。
消費税の導入や公定歩合の引き上げ(預金金利の上昇)、土地関連融資の抑制(総量規制)、地価税の創設、固定資産税の課税強化など短期間のうちに金融引き締め策が続いたこともありバブルは崩壊。人々は夢から醒めました。
バブル崩壊の戦後処理
バブル崩壊について調べると『山一證券の破綻』について目にすることがあります。山一証券はバブル崩壊で顧客が被った損失を補てんしたり、裏ワザを使ってその損失を隠したりしていました。
ところが損失があまりにも大きくなりすぎて手のつけようが無くなり、また損失隠しに使っていた裏ワザが規制当局にバレて隠しきれなくなったりして倒産。バブル崩壊の印象的な事件として記録されています。当時山一証券で何が行われていたのかはドラマ『しんがり ~山一證券 最後の聖戦~』で窺い知ることができます。
バブル崩壊”後”にも多大な影響を残しており、バブルがいかに大きかったのかを物語っています。
ITバブルと崩壊
バブル崩壊の衝撃を忘れた頃、今度はITバブルとその崩壊が起こりました(2000年前後)。
インターネットの普及とパソコンの普及を背景にIT業界が儲かり、ウェブサイトの制作会社やサーバー会社は景気が良かったそうです。インターネット関連企業が特に儲かったため「ネットバブル」とも呼ばれます。「IT企業の経営者」はお金持ちの代名詞となりました。
当時はまだウェブサイトを作ったりサーバーを運営したりする会社が少なく、また新しい業界だったこともあり仕事における”相場価格”もありません。そのためどう考えてもボッタクリと言える価格で仕事を引き受け、短期間に大金を稼ぐ業者もあったと聞きます。
当時を代表する人物と言えばソフトバンク会長の孫正義さん。
孫さんは当時、ソフトバンク社の株価が暴騰したため保有資産の評価額が高騰。マイクロソフト会長のビル・ゲイツ氏を抜き、一瞬だけ世界一の大富豪になったそうです。
ただしその期間は本当に一瞬だけ。ITバブルの崩壊が起こりソフトバンク社の株価は1年も経たないうちに10分の1まで下落。さらに数年かけて最高値の30分の1くらいまで下落しました。
当時は情報通信業をやってる会社の株がとにかく買われており、新規上場(IPO)する会社がネット関係だった場合はみんな我先にと買い注文を出しました。〇〇ドットコムと名前の付けられた会社が大量発生したのもこの時期です。
ソフトバンク以外ではヤフー(4689)がバブルによる株価急騰と崩壊を味わっており、GMO(9449)は上場したばかりでしたが後先考えずに投資家たちが群がりました。
アメリカでもITバブルが起きていた
ITバブルは日本だけの話ではなく、アメリカでも同様の現象が起きています。というよりもアメリカで先にITバブルが発生し、その流れが日本でも発生したというのが正しい認識のようです。
当時のアメリカのITバブルの状況はNASDAQ総合指数で窺い知ることができます。2000年ごろに急上昇・急降下しているのがわかります。
リーマンショック
リーマンショックは2007年にアメリカで始まった住宅バブルの崩壊をきっかけとして、サブプライム住宅ローンの不良債権化が危機的状況に陥ったことが発端とされています。
その後、投資銀行のリーマン・ブラザーズが経営破たんしてからは世界的な金融危機が連鎖的に発生。日本でも倒産する会社が相次ぎ、リストラや就職難が起きました。
日本では現在消費税の増税予定に関し、安倍首相が「リーマンショック級の経済危機が起こらない限り増税する」旨を強調しており、最近の景気動向の悪化を懸念して増税見送りを提言する人がいます。しかしもしもリーマンショック級が起きたら増税うんぬんを議論している場合ではありません。会社がバタバタ倒産する事態なので、いかに出血を食い止めるかに必死で増税のことなど誰も口にできない雰囲気になっているくらいです。
つまり現在のような景気悪化程度ではビクともせず、増税は確実に実行されるってことですね。
魔の民主党政権時代
リーマンショックで経済的不安が起こる中、日本では自民党を倒し民主党(当時)が政権を握りました。
僕は当時はまだ就職したばかりで投資にもそれほど興味がなかったのですが、いま振り返ってみると日経平均株価は上がらず底値にピッタリと張り付いていますね。
2011年には東日本大震災もあったので全てが民主党のせいとは言い切れませんが、「民主党に政権を取らせてはいけない」と僕の頭の中には教訓がハッキリと刻まれました。民主党はその後、他の政党を吸収するなどして名前を替え、現在では国民民主党、希望の党、立憲民主党などに分裂しているようです。
アベノミクス開始
民主党の暗黒時代が終わりを告げると春がやってきました。安倍総理がリーダーシップを取りアベノミクスが開始されたのです。
三本の矢として
- 大胆な金融政策
- 機動的な財政政策
- 民間投資を喚起する成長戦略
が行われ、経済界には大きなメリットとなりました。
加計問題、統計不正、五輪招致不正など日本政治の闇も残っていますが、少なくとも株価だけを見ればアベノミクスの効果が出ています。
問題は政治の闇がうやむやにされている点と、株を持っていない人には何の恩恵もない点です。庶民には何も恩恵がないばかりか、増税されたり社会保険料が上がったりモノの値段が上がったりして家計の出費は増えるばかりです。
一応所得も増えているらしいのですが、増税による出費が所得増加よりも勢いよく進んでいるため自由に使える金額(可処分所得)は減少。株価上昇という”成果”を打ち消す結果になっています。
令和に続く
以上のように平成の32年間だけで色々なことがありました。
次の令和でも色々なことが起こると思いますが、株をやっている方は時代の変化に合わせて投資先を選択し、波に乗った取引をしたいですね。
株式市場では現在、東京証券取引所が1部、2部、マザーズ市場の上場基準を見直すなど制度変更に動いています。30年経てば人も時代も変化するわけでして、制度だけが変わらないのは逆に不自然です。
時代の変化に取り残されないよう、制度面での対応も迅速に行いたいですね。
以上、平成相場史の振り返りでした!
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