いま密かに、ボディビルの「かけ声」を集めた『ボディビルのかけ声辞典』がブームになっているそうです。
ボディビルと言えば筋肉ムッキムキの人が「これでもか!これでもか!」っと筋肉を見せつけてくる暑苦しいイメージがあります。
しかし『ボディビルのかけ声辞典』では筋肉の自慢ではなく、ボディビル大会の会場で飛び交う「かけ声」に注目。独創的で個性的過ぎる数々のかけ声を紹介してます。
このページではボディビル大会でどんなかけ声がやりとりされるのか?深淵なる世界のごく一部をご紹介するとともに、ボディビルの魅力や審査の基準についても解説しました。
普通に生活しているだけでは絶対にたどり着けない境地を知りたい方、ボディビルのことを知りたい方はご覧ください。
ボディビルダーが言われて嬉しい掛け声
まずは肩慣らしに、ボディビル選手が言われて嬉しい掛け声からご紹介します。
第5位:ナイスポーズ
ポージングが上手い、センスがあるときに送るかけ声。
規定ポーズ(全員同じポーズをとる)や自由ポーズをとる際、自分の最も見てもらいたい筋肉を審査員にアピールするのが上手だったり、筋肉の美しさを上手に表現できているボディイルダーにかけられます。
第4位:バリバリ!
水分が抜けて筋肉と皮膚が張り付いている状態を通称「バリバリ」と表現します。
一説によれば、体の表面に浮き出る血管がカミナリのように見えることから「バリバリ」と表現されるようになったとか。
ちなみにバリバリの上級種が「パリパリ」。
第3位:ナイスバルク
これは筋肉の容量が大きいことを褒めています。同義語は「大型冷蔵庫!」。
どちらも筋肉の容量が大きいことを褒めているかけ声です。
第2位:キレてる!
筋肉のライン、筋肉の境目がよく見えている状態を褒めているのが「キレてる!」です。
ボディビルは筋肉の大きさだけでなく「いかに美しく筋肉を見せているか?」も審査基準となるため、シャープで美しい筋繊維が見えた時は感動のあまり「キレてる!」としか表現できなくなるそうです。
第1位:デカい!
ボディビル界で最大の褒め言葉です。「大きい!」ではなく「デカい!」。
筋肉の大きさを簡潔に褒め称えています。
最近流行ってる掛け声
ボディビル大会で最近流行っているかけ声についても見ていきましょう。
まずはこちらから。
肩にちっちゃいジープ乗せてんのかいっ!
テレビでも紹介されたことがあるそうですが、首と肩の間にある僧帽筋(そうぼうきん)が盛り上がっている様子を褒めています。
僧帽筋は普通の人では絶対に筋肉が付かない部分なので、鍛え抜かれモリモリと筋肉が付いているのを見て称賛するそうです。
同系列のかけ声としては「肩メロン!」「肩カボチャ!」など。こちらも個性的です。
大胸筋が歩いてる!
常識で考えれば、胸の筋肉が歩くはずがありません。
ところがボディビルダーの胸の筋肉は、かけ声のとおり「歩く」のです。
俺たちにできないことを平然とやってのける。そこに痺れる憧れる~。
腹筋がカニの裏!
カニをひっくり返すと、裏側がひび割れてますよね。
この割れ目な感じを表現しています。
二頭がチョモランマ!
上腕二頭筋(力こぶ)が盛り上がってチョモランマのようになってるよ!という褒め言葉です。
チョモランマとは別名エベレスト。標高8848メートルで世界最高峰の山のことです。
力こぶがワールドクラスだと言われて嬉しくないボディビルダーはいません。
なぜ掛け声の種類が増えてきたのか?
多種多様で独創的なかけ声をご紹介してきました。
なぜこんなにも面白いかけ声が増えてしまったのか?その事情について簡単にご説明しておきましょう。
かけ声の種類やレパートリーが増えた背景には、
- ボディビルを勝負事として考えている人よりも、ボディビルがエンターテインメントだと考えている観客が増えたこと
- 女性客やボディビルに詳しくない観客が増えたこと
が原因だと言われています。
ボディビルが一部のマニアや勝負師だけのものではなく、一般人にも広まったことが原因ということです。
多様な観客が増えてきたことで大会会場の雰囲気も変わってきているらしいので、今後もさらにかけ声のレパートリーは増えていくでしょう。
そもそもボディビルとはどのような競技なのか?(審査基準)
話は変わりますが、「そもそもボディビルってどんな競技なの?」という方のために、ボディビル大会の審査項目についてご説明します。
主な審査項目は次のようなものがあります。
- 筋肉の大きさ、容量
- 筋肉の鮮明さ(くっきり見えること)
- ポージング・表現力
- 全体のバランス(上半身と下半身、各筋肉のバランスなど)
1、筋肉の大きさ、容量
まず1つ目の「筋肉の大きさ、容量」ですが、筋肉の見た目が大きいことで加点されるということです。デカさは正義!
鍛え抜かれた筋肉は1本1本の筋繊維が太くなり、見た目が大きくなります。
つまり、誰よりも自分に厳しく誰よりも苦しいトレーニングを積んできた者だけが筋肉が大きくなり、「デカい!」「大型冷蔵庫!」などの称賛を受けられるということですね。
2、筋肉の繊細さ
筋肉に負荷をかけて筋繊維を太くしただけでは、ボディビルダーとしては三流です。
一流のボディビルダーは鍛えぬいた筋肉をより美しく見てもらうために、体脂肪を極限まで削ります。
こうすることで皮下脂肪が減るので筋肉が見えやすくなるからです。
また、ボディビルダーは日焼けサロンなどで肌をこんがり焼いていますが、これも筋肉を美しく見せるための工夫。
大会ではライトアップされたステージ上で筋肉を披露しますが、肌が白いとライトが反射して白く光ってしまいます。これではせっかく鍛え抜いた筋肉がよく見えません。
ライトで肌が光って筋肉が見えにくくならないようにするために、肌を黒くするそうです。
3、ポージング・表現力
一流のボディビルダーには表現力も求められます。
鍛え抜いた筋肉を「ただ見てもらう」だけでは芸がありません。
筋肉をより美しく、よりマッチョにアピールする必要があるのです。
そしてそのためには、より美しく見える角度、ポーズを研究しなければならず、ボディビルダーには飽くなき探求心とセンスが求められます。
4、全体のバランス
「上半身の筋肉はよく鍛えているけど下半身は細いまま。」というのはボディビルでは通用しません。
上半身も下半身もバランスよく鍛えなければならず、また、脚部や腹部、腕部など各パーツごとのバランスも取れていなければなりません。
「好きなパーツだけを徹底的に鍛える」というのは、ボディビル界では通用しないのです。
ボディビルの大会ではこれら4つの項目で審査し、優勝者を選びます。
ボディビルにもシーズンオン・オフがある
室内競技のボディビルですが、実はオンシーズンやオフシーズンがあります。
大会が多く、オンシーズンなのが5~10月。それ以外はオフシーズンだそうです。
ボディビルダーはオフシーズンになると食べものをたくさん食べ、筋肉の素になるタンパク質や栄養素を摂取するそうです。この期間中は体重が10キロ近くも増えるとか。
そしてたくさん食べて筋肉の素を摂取したら、筋肉を太くするためのトレーニングを開始したり、体脂肪率を落とすためのトレーニングを始めたりするそうです。
一年を通して体型がかなり変わるので、
「去年よりもこの部分の筋肉を育てることができた」
「今年はこの筋繊維を太くできた」
など、ボディビルダーはかなりマニアックなことに楽しみや喜びを感じるそうです。
う~む。深い。
ボディビル大会を観戦しよう
かけ声から始まり、ボディビルの世界観をご紹介しました。
ボディビルの奥の深さをご理解いただけたでしょうか?
僕自身、馴染みのない競技で知らないことばかりだったので、とても勉強になりました。
とはいえ、かけ声やボディビル選手たちの苦労についていくら語ったところで、百聞は一見に如かずです。
ボディビルの大会は全国各地で開催されているので興味を持った方は実際に会場に足を運び、鍛え抜かれた肉体美と独創的なかけ声を体験してみてください。
コメント