ベーシックインカムの実験例と、実現するのに必要な制度改革とは?

久しぶりにベーシックインカムについて調べてみました。

ベーシックインカムについては以前にも『年金制度を廃止してベーシックインカムに移行した方が良いのでは?』という観点からブログに書いたことがあります。

年金制度を廃止してベーシックインカムに移行した方が良い理由

ベーシックインカムとは、生活に最低限必要なお金を国から支給してもらう制度のことです。生活保護や年金制度と似たようなものですね。

働かなくても生存には困らなくなるので僕は大賛成なのですが、いまのところ実現できていません。

ベーシックインカムの実施を試みている国や自治体、団体はあるのですが、いまだに実験の域を出ておらず、政策として安定的に実現できている国はありません。

ベーシックインカムの実施例・実験例

ベーシックインカムの実践例は過去にいくつかあります。

ケニア

アメリカの非政府組織(NGO)「ギブ・ダイレクトリー」が2016年10月からケニアの村々で始めた歴史上最大の”実験”。

毎月村の大人全員に1人当たり月2250シリング(約2500円)を支給するもので、約2万人が対象。2~12年間に渡る長期的なものです。

お金をもらうと怠ける?ケニアの2万人「大実験」(共同通信社)

支給条件を4つのグループに分け、それぞれのグループで勤労意欲など行動面での変化が現れるのか?データを取っているようです。

一つ目のグループは毎月22.5ドルを12年間受け取り、二つ目のグループは毎月22.5ドルを2年間だけ受け取り、三つ目のグループは2年分の金額を一括で受け取り、最後のグループは何も受け取らない。こうして支給の条件に変化をつけながら、お金を受け取った人がそれぞれどういう行動を起こすのか、総合的なデータを集めることを狙いとしている。

貧困をなくせるか。ケニアで始まった、史上最大規模のベーシックインカム実験

フィンランド

Kelaというフィンランドの政府系経済機関が2000人の失業者に対して、月額560ユーロ(約6万8000円)を2年間毎月支給するというもの。2017年1月から2018年12月まで実験し、幸福度の向上など一定の結果が得られたそうです。

ただし、2年間という短い期間のデータしか得られておらず、分析中のデータもあるため恒久的な政策として実現するためには判断材料が不足しています。

Preliminary results of the basic income experiment(Kela)

民間企業「Yコンビネーター」による実験

カルフォルニア州オークランドにある老舗企業「Yコンビネーター」による実験。

2016年からパイロット実験を開始し、2019年中には規模を拡大して実施する予定とのことです。パイロット実験は規模が小さく、実験結果もまだ発表されていないようなので実態は不明ですが、2019年開始のものについては「Making Ends Meet」と名付けられ、

  • 1,000人に月1,000ドル(約11万円)、対照群となる2,000人に月50ドル(約5,600円)を支給
  • 実施期間は人によって3~5年間

とのことです。

「ベーシックインカム」の社会実験が難航中、果たして本当に有効なのか?

ホリエモン(堀江貴文イノベーション大学校)

ホリエモンこと堀江貴文さんが主催する「堀江貴文イノベーション大学校(HIU)」では、一部の参加者に毎月10万円を支給しています。

生活に必要な最低限のお金が手に入るとどうなるのか?については、毎月のレポートで経過観察できます。

ベーシックインカムレポート

その他

その他、オランダ、カナダ、インド、ウガンダ、スイスなどでベーシックインカムの実験が行われましたが、政策として実施している国はありません。

ベーシックインカムが継続できない原因は財源

「ベーシックインカムは”働きたくない”という怠け者を優遇する政策。そんなものがうまくいくはずがない!」という意見もありますが、果たして本当でしょうか?

いまのところ実現できている国が無いので「結果がすべてを証明している」とも言えるのですが、実際のところ「やろうと思えば実現できる」のではないでしょうか?

ベーシックインカムの実現を阻む最大の課題は”財源”です。

たとえば日本国民全員に毎月5万円ずつ支給するとします。この場合、必要な金額をどうやって捻出するのかが課題となっており、導入には至っていません。

国民全員に配るだけのお金を税金だけでは賄えないとされており、これまでベーシックインカムの実験をしてきた国や自治体でも、「お金が無くなったら実験終了」というのが実情です。

ですがこの財源不足については、社会保障制度を変えたり国家を運営するシステムを変えたりすれば、ベーシックインカムの制度を継続的に機能させることが可能です。

たとえば公務員の数を減らせば、それだけ財源が浮きます。大量の公務員が失職しますが、彼らもベーシックインカムを受け取ることができるので問題ありません。

ベーシックインカムではお金を”国民全員に無条件で配る”ので、生活保護みたいな「支給可能・不可を調査する公務員」も必要ありません。一度システムを組んでしまえば、無人で税金の回収(財源確保)とベーシックインカムの運営(お金の支給)ができます。

動画教材による義務教育のIT化を進めたり選挙でのインターネット投票が導入できれば、必要な公務員の数なんて微々たるものでしょう。自衛隊・警察・消防など治安維持の関係者だけはある程度の頭数が必要ですが、議員や教師など大多数の公務員を減らすことは可能です。

本来のベーシックインカムは、公務員の大量解雇などもっと大掛かりなシステム全体を動かさないと実現できません。ただ単に「生活に必要なお金を給付します」では成立しない制度です。

公務員の削減や年金制度・生活保護・失業保険の廃止などを行えば実施可能なので、僕が生きているうちに実現してほしいと思いました。

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