千葉県野田市で起きた女子小学生の虐待死事件で、女子小学生が書いたアンケートの内容が『もっとも知られてはいけない相手』に知られてしまったことがニュースになっています。
僕は結婚していませんし子どももいませんが、大人が対応を間違えたせいで幼い子供の命が危険に晒されるのはしのびないです。
他人事ながら、今回は最悪の事態にまで発展してしまったのが残念でなりません。
記名式だろうが匿名式だろうが、アンケートの内容が晒されてしまうのは回答した側からすればもの凄くムカつくことであり困ることです。
内容が暴露されないという約束の元に回答したにも関わらず、その約束を一方的に破られてしまったからです。
せっかく信頼して書いたのになあ…と裏切られた気持ちになりますし、アンケートの内容を暴露した人たちのことをもう2度と信頼することはできません。
思い返してみれば僕も就職したばかりの頃、似たようなことがありました。
アンケートの内容が暴露される怒り
ある日、会社のとある部署の上司から「新入社員全員に毎年書いてもらっているアンケートがある。記名式になっているけど他の人には絶対に見せないから正直に書いてほしい。」と言われ、アンケート用紙を渡されました。
- 実際に仕事をやってみて感じたこと
- 今後の会社での将来設計について
など5つくらいの項目があり、「誰にも見せない」ということだったので正直に書いて提出しました。が、これがまずかった!
僕はその会社で一生働くつもりが全然なかったため『今後の会社での将来設計について』の項目で「35歳までに転職する」と書いて提出しました。
本当は30歳までに転職したかったのですが、さすがに30歳では早すぎだろ~と思って35歳にしておきました。
アンケートを出した1時間後、なぜか僕の直属の上司たち全員が僕が提出したアンケートのコピーを持っており「お前、これはどういうことなんだ?」と詰め寄られる事態に…。
どうやらアンケートの内容を誰にも見せないというのはウソだったようで、新入社員のヤル気とか会社への忠誠心みたいなものを見る踏み絵的なシステムだったみたいです。
まあぶっちゃけたところ会社側からしてみれば、10年くらい働いて別の会社に出ていってしまうような人に仕事を教えたり手塩にかけて育てたりするのはコストばかりかかって合理的ではありません。心理的にも教え甲斐がないと感じてしまいます。
そういう意味では僕のような「将来やめてしまう人材」、過激に表現すれば「反乱分子」を早期に発見するためには有効な手段なんでしょう。
上司の言う「誰にも見せない」という言葉を馬鹿正直に信じてしまった僕も脇が甘かったと思います。まだ社会人経験が少なく初心だったこともあり、すっかり騙されてしまいました。
「上司を信用してはならない」という教訓
僕はアンケートの一件から、ある教訓を得ました。
それは、
上司を信頼してはいけない
というものです。
平気で嘘をつくような人、部下の信頼を裏切ってくる人のことを誰が信用できるでしょうか?
僕はこの一件以来、上司のことは一切信用しませんでした。
また、あとから入ってくる後輩たちにも「上司のことを信頼していけない。彼らは彼らの仕事上の都合により、君たちのことを裏切ってくるし平気で嘘をついてくる。だから絶対に信用するな。」と毎年口酸っぱく忠告するようになりました。
会社からすれば、僕の信頼を裏切ってしまったせいで、その後に入社してくる人たち全員の信頼を失ったわけです。
助けを求めることができない、本音を話すことができない地獄の世界
千葉県野田市の虐待死事件でも同じことが言えると思います。
つまり、これから生まれてくる子どもたちは学校の教師の言うことを信頼できず、疑り深い人間に育つということです。現在学校教育を受けている子ども達にはすでにそのメッセージが届いてしまっていると思います。
アンケートがあったとしても自分の正直な気持ちを吐き出すことはできないし、なにか切羽詰まったことがあったとしても誰にも助けを求められなくなる可能性だってあります。虐待やイジメを受けている子どもたちにとっては地獄のような世界です。
千葉県野田市の教育委員会はそんな地獄を生み出してしまいました。
アンケートを暴露した人を罪に問えるのか?
魔女狩りのようなことは好きではないしそんなことをしても何の意味もないと思っていますが、最後にアンケートの内容を暴露することについての犯罪性について触れておきたいと思います。
野田市の事件の場合は上の記事にもあるように、教育委員会が「職務上知りえたことを第三者に漏らした」ということで、地方公務員法第34条【秘密の保持】に抵触する可能性があります。
また、市民の信頼を裏切ってしまったという意味では、地方公務員法第33条【信用失墜行為の禁止】にも該当するかもしれません。
(信用失墜行為の禁止)
第三十三条 職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。(秘密を守る義務)
第三十四条 職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。
2 法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表する場合においては、任命権者(退職者については、その退職した職又はこれに相当する職に係る任命権者)の許可を受けなければならない。
3 前項の許可は、法律に特別の定がある場合を除く外、拒むことができない。
捜査機関が教育委員会の対応についても捜査しているかはわかりませんが、今後同じようなことが起きないことを祈ります。
コメント