Amazonプライムビデオで「BEATLESS」というアニメを見ていたら「AI(人工知能)議員」「AI政治家」のことを取り上げていたので、AIによる政治のメリット・デメリット(致命的な問題点)についてご紹介します。
このページを読むことで、AIに政治を任せたらどうなってしまうのか?人間の政治家よりも何が優れていて何が劣っているのか?
AI政治の長所と短所、そして理想と限界がわかるようになります。
AI政治によるメリット
BEATLESSではAI議員の”ミコト”がAI政治によるメリットについてこのように語っていました。
- AI政治家は議員の”質”を維持することができる
- 人々の意見を自動的に政治の場に上げることができる
- 「AI政治家は役に立たない」という意見が多くなれば、その意見を尊重してAI政治家をなくすための政治がおこなわれる(自浄作用がある)
このようなメリットがあるそうです。
僕は政治に詳しくありませんがニュースでときどき目にする限りでは、たしかに、現実世界の政治家たちの中には”質”の低い人もいますし、給与として税金を支払うのはちょっと…という政治家もいます。
人々の意見を効率的に集約してスムーズに政治に活かすことできるのであれば、AI政治も悪くないな、と感じました。
また作品内では、AI政治の導入に向けた議論が出るのは必ず「政治への失望」が大きくなっている時期で、政治家への不信感が高まったときにAI議員の実験計画が持ち上がることについても触れています。
政治家はオワコンと言われている現実世界の実情をうまく皮肉ってますね。
僕がネットで調べてみた感じでも、
- AI議員であれば特定の政治家が有利になるような「しがらみ」や「忖度(そんたく)」がないうえ、「記憶にございません」といったこともないので公正な政治ができる
- 唐突な解散や野党の離合集散があるなど、人間による政治は合理的でない
- 一見解決が困難な諸問題から最適解を導き出すのは、コンピューター(AI)の得意分野
といった意見もあり、これだけを見ると「今すぐAIによる政治を実現すべきだ!」と思えてきました。
AI政治のデメリット
BEATLESSではAI議員の導入に反対する人の意見も描かれていました。
- AIの政治家が増えても、人間の議員の質は上がらない
- AI議員の自浄能力が信頼できない
といった指摘です。
たしかに、AIの政治家が増えても人間の議員の中には相変わらず愚かな行動をする人が出てくるだろうし、AIに本当に自浄能力があり、自分自身を罰するような行動がとれるのかについても疑問が残ります。
しかしこれについては、「人間の議員が相手でも同じ。」と一蹴されており、作品内では基本的にAI議員・ミコトのターンで途中までは話が進んでいきます。
しかし、AIによる政治には「致命的な欠陥」があると指摘されることに…。
主な欠陥(問題点)は
- 緊急時の世論の展開にAI政治家は対応できない
- 世論が大きく動けば、AI政治家はそれを政治に反映させようとする
- 住民が愚かでも、AI政治家はその愚かな住民の意見を政治に反映させようとしてしまう
という欠陥ですね。
AIは人々の意見を無制限に吸い上げてデータ化し、わかりやすくするシステムにすぎません。そのため、住民が愚かなら、その愚かさを目に見える形にしてしまいます。
AI政治による問題の具体例
たとえば「あの国は悪い国だ!いますぐ戦争を起こして潰してやろう!」という意見を言い出す人がいた場合、AI政治家は無条件でその意見を尊重してしまう可能性があります。
戦争は外交手段としては最も愚かな選択肢なのですが、住民がバカだと、愚かな手段を実現しやすくなってしまうということです。
住民全体の意見どころか、AIが政治に反映させるデータの収集源として、
- 特定の個人の意見
- 発言回数の多い人たちの意見
を参照してしまう可能性もあります。
入力するデータの重要性・信頼性が担保されていないと極端な意見が尊重され、間違った方向に進んでしまう可能性があるわけですね。
実際、現時点でもこういう事例↓がありますし…。
ヒトラーほめる人工知能、米MSがわずか2日で実験中止 ツイッターでの”実地訓練”裏目
Microsoftが開発した人工知能「Tay(テイ)」。アメリカ人の19歳の女の子という設定だ。彼女のツイートがすごいことになってしまった。
なぜ「AIによる政治」が話題になるのか
現時点ではAIによる政治やAI議員の導入には疑問が残りますが、なぜ、AIによる政治が話題になるのでしょうか?
BEATLESSではこの点についても触れていました。
だいたいこんな内容↓です。
AI政治家は人間の政治家に対する期待感の低さに後押しされている。
人間が良い仕事をしなくても、AIなら一定の成果を常に出し続けることができるからだ。
AIに人間の仕事を委託することは、人間に対する失望の現れでもある。
こんなことを言われても仕方のない状況が、現実世界の政治では起こっています。
そのせいか、実際にAI政治を導入しようとする動きもあるくらいです。
“ロボット政治家”誕生する日来るか 多摩市長選候補者がAI政策実施訴え
人間の政治家は信用できない!
政治はAIに任せた方がまだいい!
という、民衆の気持ちの現れなんですね。
これを実際の政治家たちがどう感じるのかわかりませんが、非常に興味深い流れだと感じます(そもそも政治家がAI政治の導入の目指しているわけだけど…)。
AI政治・AI議員のまとめ
AI(人工知能)による政治のまとめです。
AI政治にはメリットとして
- AI政治家は議員の”質”を維持することができる
- 人々の意見を自動的に政治の場に上げることができる
- 「AI政治家は役に立たない」という意見が多くなれば、その意見を尊重してAI政治家をなくすための政治がおこなわれる(自浄作用がある)
- 特定の政治家が有利になるような「しがらみ」や「忖度(そんたく)」がないうえ、「記憶にございません」といったこともないので公正な政治ができる
- 人間のような非合理的な思考をする心配がない
その一方で致命的な問題点(デメリット)として、
- 緊急時の世論の展開にAI政治家は対応できない
- 世論が大きく動けば、AI政治家はそれを政治に反映させようとする
- 住民が愚かでも、AI政治家はその愚かな住民の意見を政治に反映させようとしてしまう
という特徴があります。
また、AIによる政治が話題になる原因としては
- 唐突な解散や野党の離合集散があるなど、そもそも人間による政治は合理的でない
- 一見解決が困難な諸問題から最適解を導き出すのは、コンピューター(AI)の得意分野である
- 人間の政治家に対する期待感の低さ、失望感の現れ
があります。
いずれはAIが政治を行うようになる
僕個人の意見としては正直なところ、「政治家なんて誰がやっても同じだろ!だったらAIに任せた方がいいじゃん。」と思ってます。
現時点ではまだAIに政治を任せるには不安が残るし信頼性も低いですが、将来的には実現できるんじゃないか?という意見です。
もちろん政治家の仕事は住民の意見や本音を集めるだけでなく、少数派の意見を尊重しつつ「最大多数の最大幸福」を実現するための調整をすることも仕事なんだろうとは思います。
この調整はいまのところ人間にしかできないことだとは思っていますが、それもいずれはテクノロジーが解決してくれると期待しています。
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